ゴールデンロード劇場
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映画への散歩道
コラムのコーナーです^-^


 近年における映画館事情

近年、複合型施設であるシネマコンプレックスが主流になりつつあり、単館映画館の経営は厳しい状況にある。
 
特に札幌では2003年3月に道内最大級のシネマフロンティアが誕生し、それに伴い、三越名画劇場(同年2月)、東映会館(同年3月)、道内最古(創業93年)と言われた松竹遊楽館(同年3月)までもが幕を下ろすことになった。閉館は波はこれだけに止まらず、同年8月にはニコー劇場と札幌映画館のシンボルともいえる東宝日劇が幕を閉じた。
 
この時点で、札幌にある主な単館映画館は帝国座会館と東宝プラザだけになり、今後はこの2館が札幌の単館映画館の歴史を引き継いでいくことを期待していた。しかし、東宝日劇が閉館してわずか5日後、業績不振により天野興業破たんしたという衝撃的なニュースが飛び込んできた。これに伴い、同社が経営していた帝国座会館とポーラスターは、ポスターなどそのままの状態で「都合により当分の間、休館いたします」の張り紙が貼られ、休業状態(事実上の閉館)に陥ってしまった。

2月と3月に閉館した映画館や東宝日劇の場合は、言わばシネマフロ ンティアに移行するという前向きな閉館であったが、帝国座会館が業績不振に陥った原因は、シネコンの影響によるものであった。この閉館ラッシュにより札幌の映画館の興業図は180度変わってしまったといっても過言ではないだろう。 

札幌・帝国座会館(狸小路1丁目) 札幌・ポーラスター(南3西1)


このような映画館の閉館の動きは全国でも起こっており、単館映画館の経営はより一層厳しい状態にあるといえる。今後は、この厳しい状況の中、いかにしてシネコンと差別化を図り、生き残っていくか早急に考えていく必要がある。とはいえ設備も最新で、音響も良く、座席もスタジアム方式で見やすいシネコンは、同じ施設で複数の映画を見られることから、若年層にとってはコンビニ感覚で人気があり、単に差別化といっても難しいのが現状だ。

ただ、こうした中でも東京の新宿ピカデリーでは、立地条件から女性客が多いということで、2階のトイレを全て女性用にするなどターゲットを絞った戦略をとるなどして対策を立てている。他にもシネコンが上映しない映画を優先して上映するなどして、差別化を図っている劇場も出てきている。まさにこういう時こそ、単館でしかできない独自のアイデアをいち早く見つけ出す事が重要であろう。

ちなみにスクリーンの数に限ってみれば、シネコンの増加により増加傾向にあるので、映画離れを懸念する人にとってはある意味、安心材料といえるのかもしれない。

一方、こうした閉館の動きとは別にもう一点注目したい点がある。それは入場料の低料金化である。通常、大人料金は1800円というのが一般的だが、おそらくこの料金を支払って見る人は少ないであろう。

最近では、従来のレディースデーや毎月1日の「映画の日」に加え、メンズデー(映画館による)などもあり、単純に月5回は1000円で見ることができる計算になる。かなりの映画好きの人でない限り、月5回もあれば十分であろう。また、これら以外にも映画館によってはシニアサービス(1000円)、平日モーニングショー(1200円)、ビジネスマンにうれしいレイトショー(1200円)などもあり、様々なサービス料金が提供されるようになってきている。

このように料金が安くなったことから、気軽に映画へ行けるようになったといえるが、一方では、従来のビデオに加えDVDが普及したことにより、自宅でホームシアターを楽しむ人も増えてきている。これにより、今後、映画館は単に映画館の競争をだけを意識するのではなく、そういったことも踏まえていかなければ生き残ることは難しくなっていくだろう。 

※()内の料金は札幌のシネマフロンティア参照(2004年6月現在)


[記事作成日:2004年6月15日]

※ゴールデンロード劇場リニューアルオープンに伴い、2004年6月15日付け公開していたものを若干、リニューアル(内容自体は基本的にそのまま)しました。ただ、記事の中にある単館の新宿ピカデリーは06年に閉館しており、記事作成日を2008年にしてしまうと矛盾が生じるので、2004年のままにしています(2008年10月6日)


             







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